今回は準備運動についてです。準備運動と言えばストレッチを思い浮かべる方も多いと思いますが、やり方を間違えると、目的の効果を得られないどころか、逆効果になってしまう場合があります。

準備運動の目的は、「怪我の防止」や「パフォーマンスの向上」が挙げられますが、それではどのようなストレッチを行うと効果的なのでしょうか。

ストレッチには「静的ストレッチ」と、「動的ストレッチ」がありますが、それぞれの特徴を挙げていきましょう。

静的ストレッチは「スタティックストレッチ」と呼ばれ、例えば、前屈のように、同じ姿勢を保ち筋肉をゆっくり伸ばすストレッチのことで、ストレッチと言えば、この「静的ストレッチ」を思い浮かべる人も少なくないでしょう。
静的ストレッチは、筋肉の緊張をほぐし「疲労物質の排出」「心身リラックス効果」を目的とします。可動域ギリギリまで伸ばす静的ストレッチは、柔軟性を維持したい場合には効果的です。
しかし筋肉が緩むことにより、瞬発力が低下する為、運動前に「静的ストレッチ」を行うと、パフォーマンスを下げてしまう可能性があります。
また最近の研究では、運動前の静的ストレッチにはケガを予防する効果はないことがわかってきました。

動的ストレッチは「ダイナミックストレッチ」とも呼ばれ、動きながら腕や足を様々な方向に動かすことで、関節の可動域を広げる方法です。ラジオ体操や、サッカーでよく行われるブラジル体操などは動的ストレッチにあたります。
関節を色々な方向に動かすことで、「筋温を上昇させる」「心拍数を上げる」「可動域を広げる」効果があります。筋肉に刺激を与え反応速度を良くする効果も期待できるため、準備運動には適したストレッチと言えるでしょう。

それではなぜ筋温を上げることが必要なのでしょうか。例えば、解凍されたお肉なら柔軟性がありますが、冷凍されたお肉を無理やり曲げようとすれば、曲がらないどころか筋繊維が損傷し亀裂が入ってしまいます。これは人に置き換えると怪我と言えるでしょう。
動的ストレッチには筋温を上げる効果がありますが、最初から全力で行うのではなく、徐々に体を大きく動かしていくことが大切です。また柔軟性維持が目的の静的ストレッチを行う場合でもジョギングやウォーキング、お風呂などでまず身体を温めて行いましょう。

それぞれの目的を理解し、使い分けることで、効果的なストレッチができます。
したがって、準備運動として行うウォーミングアップは「動的ストレッチ」で、運動後のクールダウンやリラックスが目的の場合は「静的ストレッチ」を行うのが良いことになります。