最近は、コーディネーショントレーニング(以下COT)について、ご存じの方も少しずつ増えてきたように感じます。
 先日、友人と話をしていた時に、会話の中で気になることがあったのですが、COTが「何々さえ食べれば痩せる何々ダイエット」とか「今までの考え方が変わる何々理論」といった流行り廃りのある新しいトレーニング法だと思っていたことです。
 悲しいことに、COTという言葉は、まだ一般的に知られている言葉ではありません。そもそもCOTは1970年代に旧東ドイツが国策としてトップアスリートを育成するために開発されたトレーニング法でした。「そんなに昔からあるトレーニングで、良いものならなぜ広まっていないのか」というのが友人の主張でした。
 良いものなら嫌が応にも広まっていく。確かに一理あります。それでは、なぜ今まで認知度があがらなかったかについて考えてみました。
 そもそもCOTは「運動神経を向上させる」つまり、身体を正確にかつ素早くコントロールするために、神経と身体の結びつきをより強くすることを目的としたトレーニングです。したがって、新しいトレーニング方法論というよりも、運動をする中でどのようにすれば、より神経回路のつながりがより複雑になるかという考え方がベースとなっているので、「この方法だけがCOT」とか「これさえやれば運動神経がよくなる」といった類のものではありません。言ってしまえば、子どもの頃にやった木登りや、鬼ごっこ、ボール遊びなどすべてがCOTに含まれます。
 昔の子ども達は、毎日の遊びの中でコーディネーション能力を養ってきました。学校から帰ればランドセルを放り投げ、公園や空き地に行けば、誰かひとりはそこにいて、気づけば学年年齢関係なくたくさんの子ども達が暗くなるまで遊んでいました。このような環境は現在ではあまり見られなくなったのではないでしょうか。
「昔はあえてCOTと言わなくとも、自然に身につけられていたものだった」これがいままでCOTが一 般的に認知度が低かった理由だと私は考えます。 とはいえ、コーディネーション能力の有無が競技力に強く影響するサッカー界では、以前からCOTの重要性を認識し、早くから練習に取り入れられてきました。ですから、どのスポーツでも指導者の一部にとってCOTは当たり前のものだったのです。
 遊びのなかでも養えるコーディネーション能力ですが、その遊びに少しテクニックを加え、より効率的に神経回路の発達につなげる。それがコーディネーショントレーニングの考え方であり、ライズアップスポーツのレッスン内容となっています。